神戸のBL出版から2004年に出版された絵本…フランスの作曲家エリックサティの生涯を描いた作品。ピアニストの馬場睦さんの企画で彼女の奏でる数々のサティのピアノ曲にのせて私が読み語りをしています。この絵本の存在は勿論私は存じませんでした。企画者の馬場さんから頂き、読み深めて本番を重ねるほどに様々なことを感じます。21世紀の現在は、例えば「発達障がい」「学習障がい」広い意味でのアスペルガー症候群などの知識も高まり、「社会不適合」とひとくくりにせず、その反面にたぐいまれなる集中力や能力を同時に持ち合わせている事も認識され、平易な言葉で表現すれば「天才と引き換えに天から与えられた個性」とお互いを認め合い、社会で受け入れる倫理感も育ちつつあります。作曲家のサティが生まれた1866~の頃は果たしてどうだったのでしょうか…。独創性、純粋さ、潔癖、それに対しての周りの者の苦悩、どれほど本人も苦しみ周りも困惑したでしょう。絵本ですから、コミカルにあっけらかんと描かれていますが、語り部の私には読めば読むほど深く染みてきました。ペトラ・マザーズの、本質を突いた素晴らしい絵、今江祥智さんと遠藤育枝さんのリズムよく伝わりやすい言葉の選択。今この時代にもういちど復活させたい絵本。絶版になっていますので、この絵本の復活を切に願ってやみません。先だって終わりました鹿児島公演でのアンケートでも、お客様から「手に取って読んでみたい」と多くの感想をいただきました。サティさんはかわりもの10/22東京成城公演、10/28京都白砂村橋本関雪記念館公演。さらに読み込んでサティのピアノ曲とともにお届けいたします。公演の問い合わせはotohasalon@gmail.com